ロシアのバイク乗りとの出会い

シベリアで出会ったバイク乗り
前回のブログで「ロシアでは嫌な思いをしたことがない」と書いた。いくつものバイクのトラブルや、6月後半なのに吹雪に遭遇し寒さで死にそうになった経験はあるけれど(今となってはイイ思い出)、人との出会いでウンザリしたことは一度もない。そういうワケで今回はロシア人との出会いについて書いてみよう。



ロシアでは何人もの地元のバイク乗りに出会い、サポートしてもらった。私のバイクのナンバープレートがロシアにないモノだったこと、過積載の荷物でいかにも長期旅行者に見えたことが、たくさんのロシア人に声をかけてもらえた理由だと思う。あと、ロシアにはバイク乗りが少ないこともあったのかもしれない。ロシアは夏が短すぎてバイクに乗れる季節は数ヶ月しかない。日本の春はまだ雪が残る地域が多いし、秋になると日が短くなり雪が降り始める。こんな気候の場所なのにバイクに乗るヤツなんて、よほど好きなヤツだけ。だから、バイク乗り同士の連帯感は日本のバイク乗りには想像できないくらい強い。そんな中、日本からロシアにバイクで突っ込み、そのままヨーロッパに向かおうとしているんだから、彼らにとっては格好の話のネタだったんだろう。だから、たくさんのロシア人に拾ってもらえた。
シベリアで出会ったバイク乗り
最初に地元のバイク乗りに声をかけられたのはハバロフスクを出てバイクで西へと走っていたとき。道路脇で休憩中、ブラゴヴェシチェンスクという街で開かれるバイクフェスティバルに向かっていた連中に声をかけられたんだ。「オマエも一緒についてこいよ」と誘われ、この時はまだロシア人に警戒心があったはずなのに、何故だか素直についていく気になった。たぶん、同じバイク乗りだったからかな。これは後に気付いたんだけれど、バイク乗りはどこの国でも好奇心で声をかけてくるだけで、警戒する必要なんてまったくなかった。
ブラゴヴェシチェンスクのバイククラブ
未舗装路でもアクセルを緩めないロシア人バイク乗りの後ろに必死でついていき、ヘトヘトになって辿りついたのはブラゴヴェシチェンスクのバイクチームのクラブハウス。ロシアのバイクチームはこんなクラブハウスを持っていることがある。誰かの家ではなく、メンバーでパーティをしたり、遠くから来たゲストをもてなしたりするためのスペースがココ。アメリカのアウトローなバイク乗りもこんなクラブハウスを持っていて、ロシアのバイクチームもそれに近いのかも。
ウォッカで乾杯
この夜は遅くまで騒いでいたはずだけれど、ウォッカの飲み過ぎですぐに記憶が飛び、何も覚えていない。ロシアでは新しい友人ができると、ショットグラスに注いだウォッカで1人ずつ乾杯する習慣がある。この日は一度に何十人ものロシア人と知り合ったから、ウォッカで何十回も乾杯をしたはず。ロシア語での乾杯は「ナズダローヴィエ」と言うことを知ったのが、この日の唯一の収穫。他はなーんにも覚えていない。
ブラゴヴェシチェンスクのバイクフェスティバル
翌日は猛烈な二日酔いに襲われつつ、シベリア各地から集まってきたバイク乗りたちとずっと遊んでいた。原っぱに設けられた会場周辺には何も無かったけれど、会場内をウロウロしているだけで「おう、ターミー。メシでも食っていけ」、「ウォッカを飲んでいけ」と声がかかる。本当は水が飲みたいのに、ウォッカしかススメられないのには参ったけれど、ロシア人の陽気さを最初に知ったのはこのイベントだったかもしれない。
チタ近くのガソリンスタンドの店員
優しくしてもらったのはバイク乗りだけではない。彼らはロシア中部のガソリンスタンドの店員。まったく英語は話せないけれど、身振り手振りで「休憩していきな」と声をかけてくれ、暖かい紅茶と冷たいボルシチ、それとパンをご馳走になった(夏のロシアではレストランでも冷たいボルシチが出てくる)。言葉がほとんど通じなくても、相手の行っていることは何となくわかる。お互いの目を見ながら話すと、怒っているのか喜んでいるのかがわかるし、身振り手振りが入ると不思議とロシア語もわかったような気になってくる。
ブリヤート人
ロシア中部、モンゴルの北辺りには日本人にそっくりなブリヤート人が住んでいて、彼らも先に続く道のことを何とか伝えようとしてくれた。ブリヤート人はモンゴル系の民族で、ロシアにもアジア系がいるのをこの日初めて知った。ガイドブックも持たずに旅をしていたので、訪れる先々の情報がほとんど無かったんだ。
トムスクのアルチューム
ロシアで一番思い出深いのはトムスクという街で中古車販売業を営むアルチューム。彼とは吹雪の中バイクを走らせ、寒さに耐えられず飛び込んだカフェで出会った。ロシア語しか話せないカフェの店員に「コイツを泊めてやってくれ」と交渉してくれ、助けてくれた恩人が彼。その後、アルチュームに会いにトムスクを訪れ、1週間だか10日だかをトムスクで過ごすことになった。
トムスクのバイクチーム
トムスクでも地元のバイクチームにお世話になり、彼らともキャンプイベントで散々ウォッカを飲みあかした。飲み過ぎてまた記憶が飛び、昨日飲んだヤツに声をかけられて「ゴメン、飲み過ぎて覚えてない」と答えるとみんな大笑いで喜んでくれたっけ。ウォッカで記憶が飛んだと話すと、みんな「ロシアへようこそ」、「やっとロシアを理解し始めたな」と言ってくれたのを覚えている。
トムスクのバイクチーム
酔い覚ましにショットガンをぶっ放す経験をしたのもココ。軍のメンバーが基地からイロイロと持ち出してきていて、人生で初めて武器を手にすることができた。
ロシア人とのBBQ
トムスクでは一般のロシア人の家庭にも招かれた。バイク用のオイルを買いにいったお店で知り合ったロシア人に招待され、ロシア式の焼き鳥「シャシリク」パーティーに招かれた。
チャウチャウのチェン
その家で飼っていたチャウチャウのチェンも可愛かったなぁ~。
チャウチャウのチェン
今回紹介したロシア人は旅先で出会ったロシア人のほんの一握り。毎日、いろいろなロシア人に助けてもらった。今、ロシアはウクライナとの争いでニュースを騒がしているけれど、一般のロシア人は世話好きの陽気な人ばかり。ロシアと争っているウクライナの人もいいヤツばかり。まだ訪れたことがない、悪いイメージしかない国も実はイイ奴ばかりなんだろう。悪いヤツしかいない国があったとして、それじゃ社会は成り立たない。ちゃんと国が成り立っているってことはイイ奴がたくさんいるってこと。そんなことを考え始めたのがロシアだった。

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