ロシア横断で見た風景

ロシアの街並み
バイクでユーラシアを横断するとなるとロシアを避けることはできない。何年か前から日本~中国~東南アジア~インド~トルコへと続く「アジアハイウェイ」を作ろうというプロジェクトがニュースになり始めたけれど、あれだけ多くの国を横断する道路はなかなか完成ないはず。各国での道はできるだろうけれど、そう簡単にはすべての国境を越えて移動できるようにならないだろう。どこの国もだいたい隣国と問題を抱えているからね。中国を抜け、シルクロード経由でヨーロッパに向かうルートを走りたいと思っている人も多いけれど、今のところ日本人は自由に中国をバイクで走れない(ヨーロッパの人はできるらしい。実際にロシアで中国へと向かうバイク乗りに出会った)。
そういうワケで、日本からバイクでヨーロッパに向かうとなるとロシア経由しかない。ロシア西部まで辿りつけば、そこからのルートはいくつかある。ほとんどの人は北欧経由でヨーロッパに入る。夏の北欧の景色は綺麗みたいだからね。私はウクライナ→ルーマニア→ブルガリア→ギリシャと入り、船でイタリアに入った。今はロシアとウクライナの国境は閉鎖されているだろうから、このルートは難しいかもしれない。他にはカザフスタンから中央アジアに入り、イラン経由でトルコに抜ける人もいた。ただし、このルートはビザが必要な国が多く、道も悪い。北欧ルート以外は政情が不安定だから、今は北欧ルートしかないんだろう。国境なんて無視して、東から西へ好きなように走ることができたら最高なんだけれど…。複数の国に跨って旅行していると、ビザや貨幣、言葉の違いが面倒で仕方がない。悪いことなんてしないから、それなりにお金を落としながら旅をするから、好きに走らせておくれ。


ロシアの街並み
さて、今日はロシアで見た景色を紹介しよう。ロシアは嫌になるほど広いけれど観光地はあまりない。モスクワやサンクトペテルブルクなど、ヨーロッパに近いところばかりに少しだけ観光地がある。ロシアの東側が開発されたのはそれほど昔の話ではなく、農業や工業、軍事のために拓かれた土地だから、観光するところがない。どこの街にもロシア正教会はあるものの、ヨーロッパの古い街ならどこにでもあるような旧市街もない。文化的な景観はロシアの西の端にしかないのさ。
ロシア語の道路標識
ロシアでは街の観光は期待していなかったので、現地の友人ができなかった街はほぼ素通り。キリル文字の道路標識を解読しながら西へ西へと進む。大学時代、第2外国語でロシア語を専攻していて、真面目に勉強はしていなかったけれどキリル文字くらいは読める。英語での道路標識はロシア東部にはあまりないので、ロシア語を専攻していて助かった…。もう少し真面目に勉強していたら、各地域のロシア人とコミュニケーションが取れたんだろうけれどね。やってこなかったんだから仕方ない。
6月のロシアで吹雪に遭う
6月後半なのにロシア中部で吹雪にあったこともあるけれど…
ロシアの検問所
ロシア各地にある悪名高い検問所では賄賂を要求されることもなく、逆にいろいろと優しくしてもらえた。「しばらくガソリンスタンドは無いぞ」やら「お茶を飲んでいけ」など。一度だけ「今日はオレの誕生日だから金をくれ」と言われたことがあったけれど、「お前はきっと毎日が誕生日で、日に何度もそう言ってるんだろ?」と尋ねたらニヤっと笑って通してくれた。絡まれたのはその程度。
関西より広いバイカル湖
ロシアでは、その日走ったルートを毎日赤ペンで世界地図に書き込んでいた。夏のロシアは朝5時頃から夜10時過ぎまで明るく、頑張れば日に15時間近くもバイクで走ることができる。それなのに地図上では毎日少しずつしか書き込んだラインが延びていかない。ロシアはそれほど広大な国なんだ。ロシア中部のバイカル湖のそばを走った時には南東を少しかすっただけなのに、右手にバイカル湖を眺めながら2日も走っていた。後から調べてみると、バイカル湖は関西地方より巨大な湖らしい。
ロシアの車の整備工場で
時折、ロシア人の優しさに触れ、車の整備工場でバイクを洗車させてもらい…
ロシア人との飲み会
一切、英語が話せないロシア人とウォッカを酌み交わす。酒を飲むときは言葉なんて話せなくても何とかなる。旅をしない人には驚きだろうけれど、長期旅行を経験した人はみんなそれを知っているはず。
シベリア横断道路
ロシア国内で走った道の8割方はトランスシベリアンハイウェイだったけれど、高速道路なのにこんな区間もよくあった。なんとか道を整備しようとしているみたいだけれど、夏は30℃以上、冬はマイナス10℃、20℃になる気候ではアスファルトが傷みやすく、すぐにひび割れてしまうらしい。トランスシベリアンハイウェイは今、どのくらい整備されているんだろうなぁ…たぶん、2009年とあまり変わっていない気がする。
ロシア中部の道
ロシア中部辺りからは徐々に道路状況が良くなり、北海道にあるような絶景の道が現れる。ただ、景色に代わり映えがない。絶景が日常の景色に思えてしまうほど景色が変わらない。
ロシアの麦畑
ロシアは麦の一大産地で、麦畑の景色がうんざりするほど続く。昔、アメリカをバイクで横断した時にテキサス州でとうもろこし畑の中を延々と走ったときもウンザリしたけれど、ロシアのウンザリ度はそれ以上。それまで広いと思っていたアメリカがミドルサイズに思えてしまうくらいロシアは広かった。アメリカなら頑張れば1週間もあれば横断できてしまうけれど、ロシアは…どこにも立ち寄らず走っても2週間はかかるはず。
ロシアでキャンプ
ロシア後半は早くロシアを出たくて、文明圏に行きたくて、ロシア中部のトムスクを出発した後は小さな町はほとんど飛ばし、日が暮れるまで延々と走っていた。ガソリンスタンドとロードサイドのカフェにだけ立ち寄り、夜8時頃まで走った後にその日のキャンプ地を探して眠るだけの日々。道路から見える場所にテントを張るのは危ないので、道路脇に林を見つけたら、その奥に入ってこっそりとキャンプをしていた。2日キャンプをしたら1日モーテルに泊まり、シャワーを浴びて洗濯をする。そのサイクルを2度ほど繰り返し、やっとロシアを出国することができた。
ロシアにはたくさんのいい思い出があったけれど、もう一度あの国を横断しろと言われたら…無理かな。西半分だけなら、また走ってみたい。

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