サラっと駆け抜けたブルガリア

ルーマニア~ブルガリア国境
陸路での3度目の国境越えはルーマニア~ブルガリア間。EU加盟国のほとんどでは国境が無く日本の県境のような道路標識があるだけ。しかし、当時のルーマニア、ブルガリアは人と物の行き来を自由にするシェンゲン協定に未加盟で、EU圏内だけれど一応国境があった。と言っても、適当に書類をチェックするだけで厳しいことは何も無し。この狭い川をボートで渡ればブルガリアに入国。国境に来た実感がない国境だ。


ルーマニア~ブルガリア国境で出会ったイタリア人
この国境ではイタリアからバイクで走ってきた親子に出会った。父親が引退したのを祝って2人で東欧をツーリングし、これからトルコに向かうらしい。親子水入らずでの旅、しかもバイク旅っていうのがイイ。バイクで旅していると走行中の会話は当然できない(無線マイクをつければ会話はできる)。休憩中か信号待ちにしか会話ができないけれど、会話が少ない不満はたぶんないと思う。前を走る相手の背中を見たり、バックミラーで相手を確認したり、それだけで伝わる何かがあるからね。今、相手が気持ちよく走っているのか、ストレスを感じているのか、くらいは相手を見ていればなんとなくわかる。機嫌よく歌っているのを見つけたりすると、それだけでこちらも気分が良くなってくる。身近に誰かが走っているだけでも、バイク乗りは不思議なコミュニケーションが取れる。
ブルガリア北部の田舎道
これがブルガリアの風景。これからブルガリア→ギリシャへと南下していくんだけれど、南に行くほど空気も景色も乾燥してきた。木々や草木の緑が乾燥した色に見えるんだ。
ベログラドチック
国境を越えてすぐのベログラドチックに到着。ブルガリアはまだユーロを導入していないので、銀行でブルガリアのお金をおろさないとご飯も食べられないし、ガソリンも入れられない。国際キャッシュカードが使えるATMを探して、現金を手に入れた。
ベログラドチック城塞
せっかくなので町はずれにあるベログラドチック城塞を観光した。観光したんだけれど、ここがどんな場所だったか、5年も経つとほとんど覚えていない。世界一周の旅ではいろいろな観光地を訪ねたけれど、かなりの数の観光地の記憶が薄れてきている。景色は覚えているけれど、名前が出てこないなんて珍しくはない。たぶん、そうなるだろうな、と思って各地で丁寧に写真を撮るようにしていた。1枚でもその場所の写真を見れば、記憶がパっと甦ってくるからね。写真の枠の外にどんな人がいたか、写真には写っていない場所のことも思い出してくる。写真は思い出を引き出すスイッチになるからイイ。「風化してしまう記憶はそのまま忘れてもいいじゃないか」そう思う人もいて、それはそれで正しい選択だと思う。でも、私はせっかく見た素晴らしい景色を忘却の彼方には送りたくない。
ブルガリアのひまわり畑
ルーマニアに引き続き、特別な出会いもなく淡々と田舎道を走る。出会いがあった方がイイに決まっているけれど、こういう景色の中ただ走り続けるのも気持ちいい。バイク旅の良さは移動も楽しめてしまうところ。どこで休憩してもいい、予定を変更し別の方角に走ってもいい。自分の意志で移動のすべてが決められるのがバイク旅の魅力。天気が悪くて移動を止める、なんて選択はバスや電車のチケットを買っていたらできないからね。
ソフィアのゲストハウス
ブルガリアでは首都ソフィアにあるゲストハウスに宿泊。この旅でドミトリーのある宿に泊まるのは初めて。もしかしたら人生で初めてのドミトリーはここだったかもしれない。大人数で1つの部屋に泊まるのはあまり好きじゃなく、この先もできるだけドミトリーは避けていたけれど、人に恵まれればドミトリーも案外悪くない。この時はそう思った。
アメリカ人のトーマス
同じ部屋に泊まっていたアメリカ人のトーマス。大学の夏休みにブルガリアにボランティアに来たらしい。子供たちに英語を教えるキャンプの手伝いをする…んだったかな。彼と同い年のときにそういうワールドワイドなボランティアなんて考えたことはなかった。今は日本人大学生もそういうこともするみたい。旅先で何人もそういう日本人学生に出会い、自分たちの世代より今の若い世代の方がまっすぐで優秀なんじゃないか、何度もそんなことを考えた。
ギリシャ人のおじいちゃん
このおじいちゃんも同じドミトリーに泊まっていたギリシャ人の旅人。この年齢でバックパッカーをする人もいるんだ、と驚かされた。毎年、世界各地を旅していて、ヨーロッパのことも非常に詳しく、この先訪れる予定の国のことをアレコレと教えてもらう。「この季節ならここが素晴らしいよ」みたいに、季節によって美しい場所を教えてもらえたのが助かった。
アレクサンダル・ネフスキー寺院
ソフィア市内の観光もしたけれど、この街に来たのはEU圏内で使えるバイク保険を契約しに来ただけ。日本を出る前にこの街の保険屋のことを調べておいたんだ。結局、ここ意外でEU圏外の外国人が契約できる保険屋が見つかったことがなく、予め調べておいて本当に良かった。無保険のバイクで外国を走るなんて怖いからね。自分の怪我じゃなく、相手に怪我をさせるのが怖い。
結局ブルガリアも数日だけの滞在で駆け抜けることになった。こんなペースで旅していると、バイクでの世界一周なんて1年もかからなさそう。でも、そんな慌ただしい旅がしたいワケじゃないんだよなぁ…そんなことを考えながらギリシャへと向かった。

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